社内イベント・クリエイティブ
社内イベント・クリエイティブ制作のオージャスト2026-10-21
2026-10-21
社内イベントの準備で、担当者が最初に悩むことのひとつが「どこでやるか」という会場選びではないでしょうか。予算・収容人数・アクセスといった条件を並べてはみるものの、何を最優先にすればよいのかわからず、結果として「去年と同じ場所で」という判断に落ち着いてしまう——そんな光景は、社内イベントの現場で繰り返されてきました。株式会社オージャスト代表の金功勇に話を聞くと、「会場は企画の器ではなく、企画そのものを決定する要素です」という言葉が返ってきました。20年にわたって社員総会・表彰式・キックオフ・周年イベントなど数えきれないほどの社内イベントを設計してきた代表が、会場選定における本質的な優先順位を語ります。
目次
社内イベントの企画を進めるとき、多くの担当者はまずコンテンツ——つまり「何をやるか」を考え始めます。その後、決まったコンテンツに合う会場を探すという順番で進めることが一般的です。しかし代表は、この順番自体を疑うことから始めるべきだと言います。
「コンテンツを先に決めて、あとから会場を探すと、必ずどこかで妥協が生まれます。本当は大きなステージ演出をしたかったのに、会場の天井高が足りなかった。屋外の開放感を活かした体験を設計したのに、雨天対応の設備がなかった。そういった妥協の積み重ねが、イベント全体のクオリティを少しずつ削っていくんです」と代表は語ります。
では、どうすればよいのでしょうか。代表が提唱するのは、「会場の特性から企画を逆算する」という発想の転換です。
「会場には、それぞれ固有の空気感があります。天井の高さ、自然光の入り方、周囲の景色、音の響き方——これらは後から変えられないものです。だからこそ、会場が持っている特性を最大限に活かす方向で企画を設計する方が、結果としてずっと豊かな体験になります。場所が企画を決めると言っても過言ではありません」
この考え方は、代表が20年の現場で積み重ねてきた実感から来ています。社員総会であれキックオフであれ、「なんとなく毎年同じ場所」「予算内で収容人数が合う場所」という選び方では、イベントの演出に本質的な変化を生み出しにくいといいます。会場選びそのものを、企画立案の最初のステップと捉え直すことが、社内イベントの質を大幅に引き上げる第一歩なのです。
とはいえ、「会場の特性から逆算する」と言われても、実際にどこから手をつければよいのかわからないという担当者も多いはずです。代表は、その出発点として「イベントの目的を一文で言えるか」を問うことの重要性を強調します。
「社内イベントの目的は、大きく分けるといくつかのパターンがあります。組織の一体感を高めたいのか、特定の成果を称えたいのか、新しい期に向けてモチベーションを点火したいのか。目的によって、会場に求める要件はまったく異なります」
たとえば、全社的な一体感の醸成を目的とした社員総会であれば、参加者全員が同じ方向を向いて共鳴できる空間——広いメインステージと、演出の変化に対応できる音響・照明設備が必要になります。一方、少人数のキックオフミーティングで「チームとして腹を割って話す」ことが目的なら、高級ホテルの大宴会場よりも、むしろ囲炉裏を囲むような距離感の近い空間の方が目的に合うこともあります。
「アウトドアのレクリエーションを中心に据えた社内イベントなら、設備の充実したグランピング施設はとても有効な選択肢です。昼はバーベキューや体験型のアクティビティで盛り上がり、夜は落ち着いた空間で社員同士が自然と会話する流れが生まれます。こういった体験の流れをつくれるかどうかは、会場選びの段階でほぼ決まってしまうんです」と代表は話します。
つまり、会場に求める要件を整理するためには、まずイベントの目的を具体的な言葉に落とし込む必要があります。「親睦を深める」「モチベーションを上げる」といった抽象的な言葉では不十分で、「どんな場面でどんな感情を参加者に感じてほしいか」まで解像度を上げることが、会場選定の出発点になります。
目的が明確になったうえで、次に整理するのが収容人数・アクセス・予算といった現実的な条件です。代表は、これらの条件は「絞り込みのためのフィルター」であって、「選定の主軸」ではないと言います。
「収容人数が合っていて、アクセスも良くて、予算内に収まる——これらはすべて、候補を絞り込むための最低条件です。でも、条件をクリアしているだけの会場は世の中にたくさんあります。その中から『どこにするか』を決める判断軸は、あくまでも『この会場でイベントの目的が達成できるか』という問いでなければなりません」
特に代表が注意を促すのが、「収容人数ギリギリの会場を選んでしまう」ことのリスクです。参加者名簿を管理しながら予約を進めるプロセスでは、直前のキャンセルや追加参加が生じることも珍しくありません。また、演出のための機材や備品、スタッフの動線を確保しようとすると、表面上の収容人数より実質的に使える空間は狭くなります。
「会場の『キャパシティ』は、椅子を並べたときの人数だけで測ってはいけません。ステージ、機材、スタッフ導線、緊急時の避難経路——こういったすべてを含めたうえで、参加者が快適でいられるかどうかを見なければなりません。詰め込みすぎた会場では、どんなに内容が良くても、参加者の体験の質が落ちてしまいます」
アクセスについても、単純な「駅近かどうか」だけではなく、参加者の属性に合った検討が必要だと代表は指摘します。全国から社員が集まる社員総会であれば、新幹線の主要駅からのアクセスが最優先になります。一方、日帰りの社内レクリエーションなら、少し足を伸ばした非日常感のある場所が、かえって参加者のスイッチを切り替える効果をもたらすこともあります。
会場選定において、代表が最も重視するのが「実際に現地に足を運ぶこと」です。写真やパンフレットでは伝わらない要素が、会場体験の質を大きく左右すると言います。
「天井の高さ、音の響き方、自然光の入る時間帯、外からの騒音——こういったことは、現地に立ってみて初めてわかります。写真で見た印象と実際の空気感がまったく違う、ということはよくあることです。逆に、写真ではパッとしなかった会場が、実際に立ってみたら演出次第でとても面白いことができると気づく場合もあります」
特に重要なのが、音響と照明の自由度です。社員総会や表彰式では、BGMや映像演出がイベントの感情的なクライマックスをつくる重要な役割を担います。会場に持ち込み機材の制限がある場合や、防音の問題で音量に上限がある場合は、演出の幅が大幅に狭まります。こうした制約は、事前の現地確認と施設担当者への丁寧なヒアリングによってのみ把握できます。
「台本を作る段階では、会場の特性が頭に入っていないと、実現できない演出を書いてしまうことになります。会場を先に確認し、この空間で何ができるかを把握したうえで台本を書く——この順番が、当日の完成度に直結するんです」と代表は語ります。
また、複数の会場を候補として比較検討する場合は、見学のタイミングをできるだけ揃えることも代表はすすめています。午前の光と午後の光では会場の雰囲気が大きく変わることがあるため、実際のイベント開始時間帯に合わせた見学が、より正確な判断につながります。
会場が決まれば企画が動き出すわけではありません。会場の選定と並行して、運営体制を整えることが不可欠だと代表は言います。
「社内イベントの運営は多岐にわたるため、一人で抱え込むのは難しいです。企画・告知・参加者管理・備品準備・当日の進行——これらを同時に動かすためには、各担当を明確にした運営チームが必要です。そして、運営チームの構成によって、会場に求めるサポートの内容も変わってきます」
たとえば、運営メンバーが少人数で当日のオペレーションに不安がある場合は、会場側のスタッフサポートが充実しているかどうかも会場選定の重要な判断基準になります。反対に、経験豊富な運営チームが揃っているなら、サポートが手薄でも演出の自由度が高い会場を選ぶ方が、結果として良いイベントになる場合もあります。
「さまざまな部署からメンバーを集めることで、社内の多様な意見が企画に反映されます。参加者の立場から見た会場の使い勝手や、普段は気づきにくいニーズが出てくることも多い。運営メンバーが多様なほど、会場選定の視点も豊かになります」と代表は話します。
また、会場が決まったら、できるだけ早期に告知を始めることも大切です。参加者にとって、場所の情報はスケジュール調整や服装の準備に直接関係します。「遅くともイベントの1か月前には告知を始め、複数回に分けて情報を届けることで、参加者の期待感を段階的に高めていく」という運営の流れが、参加率の向上にもつながります。
代表が一貫して語っていたのは、「会場は器ではなく、企画の質を決定する戦略的な選択だ」ということです。コンテンツを先に決めてから会場を探すのではなく、イベントの目的を明確にしたうえで会場の特性から企画を逆算する——この発想の転換が、社内イベントの体験価値を大幅に引き上げる出発点になります。
収容人数・アクセス・予算といった条件は、候補を絞り込むフィルターとして使い、最終的な判断軸はあくまでも「この場所でイベントの目的が達成できるか」という問いに置くこと。そして、現地に足を運んで空気感を確かめ、音響・照明・スタッフ導線まで含めた実質的な使い勝手を把握すること。これらのプロセスを丁寧に踏むことが、当日の演出クオリティと参加者の体験満足度に直結します。
「イベントの成否は、当日の演出よりも、企画の最初の判断で大半が決まっています。会場選びもその一つです。最初の選択を丁寧に積み重ねることが、組織を動かすイベントをつくる唯一の方法だと思っています」——代表の言葉は、20年の現場から生まれた静かな確信に満ちていました。
取材・文:オージャスト編集部

オージャストでは、社員総会・キックオフ・表彰式・社内レクリエーションなど、さまざまな社内イベントの企画・制作・運営を支援しています。会場の特性を起点に企画を逆算するアプローチで、目的に合った場所選定から演出設計まで一貫してサポートいたします。「どこでやるべきか迷っている」「去年と同じにはしたくい」とお考えの人事・総務・経営企画ご担当者の方は、まずはお気軽にご相談ください。
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