社内イベント・クリエイティブ
社内イベント・クリエイティブ制作のオージャスト2026-09-02
2026-09-02
「表彰式は、受賞者のためだけに開いてはいけません」——そう語るのは、株式会社オージャスト代表の金功勇です。社員総会や表彰式の企画・制作・運営を数多く手がけてきた代表が、現場経験から辿り着いたのが「3分の1ルール」という設計思想です。参加者の3分の1が何らかの形で表彰対象になるよう設計することで、直接表彰されない残りの社員のモチベーションまで引き上げることができると言います。なぜその比率なのか、どのようなメカニズムが働いているのか。代表にじっくりとお話を聞きました。
目次
多くの企業が表彰式を開催しますが、そこには見落とされがちな前提があると代表は指摘します。会場に集まる社員の大半は、表彰される側ではありません。むしろ、受賞を見届ける側として参加しています。この「見届ける側」の体験をどう設計するかが、表彰式の本当の価値を決めると代表は言います。
「表彰式を企画するとき、多くの担当者は『誰を表彰するか』という選定に力を注ぎます。それはもちろん重要なことです。でも同時に、『表彰されなかった人がどう感じるか』を設計していない企業が非常に多いんです。」
代表がこの課題に強く意識を向けるようになったのは、社内イベントの現場を重ねる中で、表彰式後に生まれる社員の反応に大きな差があることを実感してきたからだと言います。受賞者だけが盛り上がって終わる表彰式と、会場全体が一体感を持って終わる表彰式では、その後の組織の雰囲気が明らかに異なります。そのちがいを生み出す要因として代表が着目したのが、参加者の「当事者感」でした。
代表が提唱する「3分の1ルール」は、表彰式の参加者のうち3分の1程度が何らかの表彰対象になるよう、賞の数や種類を設計するという考え方です。一見すると単純に思えますが、そこには人間の心理に根ざした明確な理由があります。
「たとえば100人が参加する表彰式であれば、30〜35人が何らかの賞に関わるように設計します。全員が直接受賞するわけではありませんが、受賞者が増えると、同じ部署やプロジェクトチームから表彰される人が出てきます。すると、直接表彰されていない人も『自分たちの仲間が認められた』という感覚を持てるんです。」
代表はこの心理を、結婚式の場面に例えて説明してくれました。
「結婚式で、新郎新婦と直接会話しなくても楽しいと感じることってありますよね。同じサークルや部活の友人が壇上で盛り上がっていたり、スピーチで笑いが起きていたりすると、自分も嬉しくなる。あの感覚と同じです。自分が直接表彰されなくても、同じコミュニティの人が称えられることで、自分もその場の主役の一部であるという感覚が生まれます。」
この「間接参加の心理」を組織の設計に意図的に組み込むことが、3分の1ルールの本質です。受賞者の数を増やすだけではなく、社員の帰属意識の単位——部署、チーム、プロジェクトグループ——を意識しながら賞を設計することで、会場全体に当事者感が広がっていきます。
3分の1ルールを実現するためには、表彰の「種目」を増やすことが欠かせません。しかし、ただ賞の数を増やすだけでは意味がないと代表は言います。重要なのは、賞の設計に多角的な視点を持つことだと言います。
「よく『業績がすごい人を表彰する』という設計で終わっているケースを見ます。でもそれだけでは、毎年同じ顔ぶれが受賞することになりやすい。そうなると、表彰されない社員は『どうせ自分には関係ない』と感じてしまいます。」
代表が勧めるのが、野球の記録統計からヒントを得た「ギネス化」という考え方です。野球では、打率・本塁打・打点・盗塁・出塁率など、プレーヤーの貢献を多角的な指標で評価します。それと同様に、営業であれば次のように記録を多層化できると代表は説明します。
・月間最大契約件数
・年間最大契約金額
・クォーター(四半期)の契約件数
・連続受注記録
・一回の契約における最大金額
・新人による最短契約記録
「こうした記録を会社の歴代アーカイブとして残しておくと、現役の社員が『過去のレジェンドの記録』を目標にできるようになります。今のトップ営業担当者でも、社内にライバルがいなくなったら、かつて活躍した先輩の新人時代の記録に挑戦できる。挑戦の対象が常に存在する環境が生まれるんです。」
ただし、代表が強調するのは記録そのものが目的ではないという点です。
「記録を設計する本当の目的は、社内での評判情報を流通させることです。『あの人、今月あの記録を更新したんだって』『それはすごいね』という会話が職場で自然に生まれると、その社員がヒーローになります。社内に複数のヒーローが存在する組織は、全体として勢いが出てきます。一人のスーパースターに依存しない、組織のモメンタムを作ることができるんです。」
表彰式の設計を語るうえで、代表がもう一つ重視するのが「何を報酬にするか」という問いです。多くの企業が金銭的な報酬を組み合わせますが、代表は名誉の報酬に独自の価値があると語ります。
「現金を報酬として渡すと、最初は喜ばれます。でも人間はすぐに慣れてしまう。同じ金額では物足りなくなり、金額をどんどん上げていかないとモチベーションが維持できなくなります。インフレーションが起きてしまうんです。」
その点で名誉の報酬は、適切な社内文化が醸成されていれば持続可能だと代表は言います。実際の企業事例として、代表が挙げたのが大手不動産会社のケースです。
「ある大手不動産会社では、報酬水準が業界内で特別に高いわけではありません。それでも、社員が本気で目標達成に取り組む。なぜかというと、表彰タイトルを取ることへの誇りが社内で強く根づいているからです。その称号を得た人が組織内で尊敬を集め、自分もそうなりたいという意欲が連鎖する。名誉がリソースとして機能している好例だと思います。」
もちろん、名誉の報酬が機能するためには、表彰の基準が透明で、社員全体が納得できるものでなければなりません。代表はその点についても慎重さを求めます。
「表彰の基準は、開催前に社内でしっかり合意を得ておくことが重要です。基準が曖昧だと、受賞者以外の人が『なぜあの人が?』と感じてしまいます。そうなると、表彰式全体への信頼が失われます。名誉の報酬は、公平性と透明性があって初めて価値を持つものなんです。」
代表の話を聞いていると、表彰式は単独のプログラムとして設計するものではなく、社員総会やキックオフなどのイベント全体の流れの中に位置づけられるものだという考え方が浮かび上がってきます。
「社員総会や年次イベントの流れを整理すると、オープニング映像で年間のテーマと雰囲気を作り、経営者のスピーチで会社全体のビジョンと業績を共有し、事業責任者のプレゼンで各部署の具体的な展開を示します。そのうえで表彰式があり、最後に懇親会でインフォーマルなコミュニケーションを生む。表彰式はこの流れの中で、社員の感情が最も高まる場として機能します。」
この文脈で言うと、表彰式は単に「頑張った人を称える」だけでなく、会社のビジョンと個人の貢献を結びつける役割も担っています。経営の方向性を示した後に、それに貢献した人を称えることで、受賞者も非受賞者も「自分たちはこの会社の物語の一部だ」という感覚を持ちやすくなると代表は言います。
「表彰されなかった人が『来年は自分も』と思えるかどうかが、表彰式の本当の成否を決めます。そのためには、受賞者を羨ましいと感じてもらえるだけの演出と、自分にも可能性があると感じてもらえるだけの設計が必要です。そこに3分の1ルールと多角的な記録設計が活きてくるんです。」
株式会社オージャスト代表・金功勇へのインタビューを通じて見えてきたのは、表彰式とは「受賞者を輝かせる場」であると同時に、「直接表彰されない社員のモチベーションを設計する場」でもあるという考え方です。参加者の3分の1が何らかの形で表彰に関わる設計、多角的な記録によって複数のヒーローを生み出す「ギネス化」の発想、そして金銭ではなく名誉の報酬を社内文化として根づかせる仕組み——これらは、表彰式後の組織の勢いを生み出すための、意図ある設計です。
「表彰式が終わったあとに、受賞しなかった社員が『来年こそは』と思えるかどうか。それが私たちが設計で追いかけているゴールです」という代表の言葉は、社内イベントに携わる担当者にとって、改めて設計の出発点を問い直すきっかけになるのではないでしょうか。
取材・文:オージャスト編集部

株式会社オージャストは、表彰式の演出設計から進行台本の作成、受賞者を紹介するVTR制作、トロフィー・賞状のデザイン制作まで、一貫してサポートいたします。代表が語った「3分の1ルール」や「ギネス化」の発想など、社員全体のモチベーション向上を意識した設計ノウハウを現場に活かしながら、受賞者だけでなく参加者全員が当事者として前向きになれる表彰式づくりをご支援いたします。表彰式のリニューアルや新たな表彰制度の立ち上げをお考えの際は、ぜひオージャストにご相談ください。
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