社内イベント・クリエイティブ
社内イベント・クリエイティブ制作のオージャスト2026-10-28
2026-10-28
社内イベントを企画する際、多くの担当者がまず考えるのは「会場」や「予算」ではないでしょうか。しかし、株式会社オージャスト代表の金功勇は、そこに落とし穴があると言います。20年にわたる現場経験から辿り着いたのは、「テーマ・コンセプトを最初に決める」という、一見シンプルでありながら実践できている企業が少ない原則でした。映像・資料・装飾・運営——これらすべてを一本の軸で統合したとき、イベントは単なる「集まり」を超え、参加者の記憶に深く刻まれる体験へと変わります。なぜコンセプトの先行決定がそれほど重要なのか。金代表にお話を聞きました。
目次
社内イベントの現場に長く携わってきた金代表が、繰り返し強調するキーワードがあります。それが「統合」という概念です。映像のテイスト、資料のデザイン、会場の装飾、プログラムの運営——これらがバラバラに用意されたとき、参加者は無意識のうちにノイズを感じ取ります。逆に、すべてが一つのテーマで束ねられていると、体験としての密度が大幅に高まるというのです。
「社内イベントは演出が全てです。ただ、その演出が機能するには、各要素がバラバラに存在しているのではなく、一つのテーマのもとに統合されていることが前提になります。映像が伝えるメッセージと、会場の装飾が醸し出す空気感と、資料が語るストーリーが、それぞれ同じ方向を向いていてはじめて、参加者の心に届く体験が生まれるのです。」
この考え方の背景には、「経験経済」という概念があります。モノやサービスを提供するのではなく、「体験そのもの」を価値として提供するという考え方で、金代表はこの知見を社内イベントの設計に応用してきました。商品やサービスを買う動機が「体験への期待」である時代において、社内イベントもまた、社員にとっての「体験の質」を問われる場になっているというわけです。
では、なぜコンセプトの決定を「最初に」行う必要があるのでしょうか。後から調整すれば良いのではないか——そう思う方もいるかもしれません。金代表はこの点について、現場で見てきた事例をもとに丁寧に説明してくれました。
「よくあるのが、映像制作の担当者、会場装飾の業者、資料を作るデザイナーが、それぞれ別々に動いてしまうケースです。各パートの完成度は高いのに、全体としてちぐはぐな印象になってしまう。これはコンセプトを共有しないまま、各パートを並行して動かしてしまうことが原因です。後からすり合わせようとすると、どこかを妥協しなければならなくなります。」
コンセプトを最初に定めることで、映像のテイスト・資料のデザイン・会場の装飾・プログラム運営のすべてに共通の「ものさし」が生まれます。制作に関わるすべてのスタッフが同じ方向を向いて動けるため、個々のクオリティを高めるだけでなく、全体としての一体感が生まれるのです。
「コンセプトは、イベント全体の設計図です。設計図なしに家を建て始めたら、後から壁を壊して直すことになります。イベントも同じで、最初に設計図を引くことが、最終的なクオリティと効率の両方を決めるのです。」
コンセプトを最初に決めるという原則は、準備プロセス全体の設計にも深く関わっています。金代表が現場で実践してきた準備の流れは、「逆算の発想」と呼べるものです。会社の決算リズムに合わせてイベントの開催時期を決め、そこから逆算して準備を積み上げていきます。
「良い会場は、早いところで一年前には押さえる必要があります。人気の会場ほど、希望の日程に空きがなくなっていくからです。会場が決まってから企画を考えようとすると、選択肢が大幅に狭まってしまいます。企画準備は三ヶ月から半年が目安ですが、会場の確保はそれよりずっと先行して動かなければなりません。」
つまり、会場確保という実務的な準備を先行させながら、並行してコンセプトの議論を進めるのが理想的な流れです。この逆算の発想が機能するのも、最初にコンセプトという軸があるからこそです。コンセプトが決まっていれば、どんな会場が適切か、どんな演出が必要かという判断も、ぶれることなく進められます。
「準備の順番を間違えると、あとから修正するコストが跳ね上がります。最初にテーマとコンセプトを決め、そこから会場・映像・資料・装飾・運営という順番で具体化していく。この順番を守ることが、現場でのブレを最小化することにつながります。」
コンセプトの先行決定と並んで、金代表が強調するのが「過去データの蓄積」です。イベントは一度きりの体験ではなく、継続的に実施されるものだからこそ、毎回の学びを資産として蓄えていくことが重要だと言います。
「盛り上がった企画と、盛り上がらなかった企画を、必ずデータベース化しています。これは単なる記録ではありません。そのコミュニティ——つまりその会社の社員たちの文化や価値観を示す判定材料になるのです。次回の企画を考えるときに、このデータが企画の打率を大幅に高めてくれます。」
さらに、過去データの蓄積が生み出す価値は、短期的なものだけではありません。金代表は、時間の経過そのものを演出の資産に変えることができると語ります。
「10年前に撮影したイベントの映像素材が、10年後のイベントで活きることがあります。たとえば、10年前に新入社員として登壇した方が、今は部長になっている。そのときのスピーチや姿を映像で振り返ることが、今のイベントの演出として使えるのです。ストーリーの幅が、時間とともに広がっていく。これは、データを蓄積してきた組織にしかできない演出です。」
こうした時間軸を活かした演出は、単なるノスタルジーではありません。組織の歩みと個人の成長を重ね合わせることで、参加者一人ひとりが「自分はこの組織の一員である」という感覚を深めます。これは、組織心理学的な観点からも、組織への帰属意識や連帯感を高める効果が期待できるアプローチです。
経験経済の実践として、豪華な装飾や高額な設備投資が必要なのかと思う方もいるかもしれません。しかし金代表の考えは、そこからは少し離れたところにあります。
「派手な装飾よりも、深いドラマを引き出すことの方が、参加者の心に残ります。個人の業績をただ発表するよりも、その人がどんな苦労をして、どんな場面でチームに支えられたかという評判情報を流通させることの方が、組織全体のモメンタムを醸成します。お金をかけることと、手間をかけることは違う。私たちが大切にしているのは、手間をかける側です。」
この「手間をかける」という姿勢は、コンセプトの先行決定にも通じています。コンセプトを最初に決め、すべての要素を統合するためにすり合わせを重ねる作業は、確かに手間がかかります。しかしその手間こそが、参加者が感じる体験の質として返ってくるのだと、金代表は言います。
「イベントが終わったあと、参加者が何かを感じ、何かを持ち帰ってくれるかどうか。それが社内イベントの本当の評価基準だと思っています。そのためには、演出の背後にある理論と、すべてを統合するコンセプトが不可欠です。20年の現場から導き出した、私たちの方法論の核心はそこにあります。」
今回のインタビューを通じて、金代表が一貫して語っていたのは「統合」と「手間」というふたつのキーワードでした。映像・資料・装飾・運営という各要素は、それぞれ単体で磨いても限界があります。テーマ・コンセプトという共通の軸を最初に定め、すべての要素をその軸で束ねたとき、社内イベントははじめて参加者の記憶に刻まれる体験へと変わります。
また、毎回のイベントで得た学びをデータとして蓄積し、時間をかけて組織の文化・価値観を読み解いていくことが、企画の精度を高める長期的な資産になります。10年前の映像が10年後の演出に活きるというエピソードは、この蓄積の価値を端的に示すものでした。
・テーマ・コンセプトを最初に決めることで、映像・資料・装飾・運営が統合されます。
・会場確保は一年前、企画準備は三ヶ月から半年前を目安に逆算して動くことが重要です。
・過去のイベントの成功・課題をデータベース化することが、次回以降の企画精度を高めます。
・派手な演出よりも、深いドラマと評判情報の流通が組織のモメンタムを育てます。
取材・文:オージャスト編集部

オージャストでは、社員総会・キックオフ・表彰式・販売キャンペーン・社員旅行など、さまざまな社内イベントの企画・制作・運営を支援しています。代表の金功勇が20年の現場から培ってきた方法論をもとに、テーマ・コンセプトの設計段階から伴走し、映像・資料・装飾・運営を一つの軸で統合したイベントづくりをお手伝いします。「どんなテーマで設計すれば良いかわからない」「各要素がバラバラになってしまっている」といったお悩みをお持ちの人事・総務・経営企画の担当者の方は、ぜひオージャストにご相談ください。
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